きょうだいを同じように育ててはダメ
「同じ親から生まれて、どうしてこんなにも性格がちがうのだろう」と、よく言ったりしますが、きょうだいで同じ性格ということはまずないですよね。一般的に性格は生まれ持った気質と、あとから環境の影響でできたものと2つあるとされています。幼いうちは生まれ持った気質が強く出ているので、子どもの個性がよくわかります。
子育てにおいて、子どもの性格を深く正しく理解して導くことはとても重要です。
私は心理学を学んでいたせいもあって、今でも人の性格を分析することが好きです。性格分析の方法はたくさんありますが、子育てに欠かせない性格分析法はエニアグラムだと確信しています。
エニアグラムは、人の生まれ持った気質を相互依存的に組み合わさった9つと考え、今も研究し続けられている長い歴史ある学問です。この説明だけで本が1冊書けてしまうほどなので、詳細は置いておいて、私は、このエニアグラムをどう活用しているのかをお伝えしたいと思います。
■自分を理解する
エニアグラムは、タイプ別に①何を求めているか ②何に恐れているか ③何にとらわれているのか ④どうあると満足できるのか ⑤ストレスを感じると出てくる選択肢は何か ⑥受け入れられない選択肢は何か
といった自己分析をしていくことで、自分が陥りやすい感情や、成長するために受け入れたほうがいい思考などに気づくことができます。
私は、タイプ3で、拡大志向でスピード重視。目的を達成するためにたくさん情報を収集して画策します。しかし、目の前の1つのことに集中したいコツコツタイプ、慎重なタイプの子どもには、私の気質の態度は不安を煽る要素になってしまいます。
また、私は何でも一人でやり遂げようとします。しかし、私が成長するためには、人に頼り、仲間と達成する喜びを得ることが大事だとされています。
なので、子育てにおいて、この自分自身の気質を受け入れて、コツコツタイプの上の子への接し方には特に注意していますし、苦手な分野や家の外のことは学校の先生や学童の指導員さんにまかせることも必要だと考えています。
■子どもを理解する
年少クラス(3歳)あたりから子どもの個性は出てきます。また、家庭で見せる顔よりも保育園等の外での生活場面で見せる顔の方が個性が出やすいので、先生などから情報をもらっておくとよいと思います。私は人とコミュニケーションをとるのが得意ではありませんが、子どもの普段の様子を情報収集するために保育園の先生とはなるべく距離が離れないように心がけています。
4歳になれば、エニアグラムの9つのタイプの中から、子どもが何タイプか確定するはずです。タイプが分かったら、子どもの性格を理解して受け入れるよう努力します。
■子どもへの最適な声掛けを見つける
子どものエニアグラムのタイプが分かると、子どもの心を動かす言葉がどういったものか分かるようになります。
たとえば、初めて自転車に乗る場面があるとします。タイプ6の不安症のうちの上の子は怖がって自転車に挑戦することを嫌がります。ここで親が「大丈夫!やればできるって!」と声をかけても、タイプ6の心には響きません。ベストな声かけは「一緒にやろう!前みたいに上手くいくよ」です。これがタイプ4の下の子なら、「こんなにも自転車が似合う子はいないよね~」になります。
子どもが立ち止まったときに、背中を押してあげられる言葉は、エニアグラムを通して子どもの気質を理解することでよりベストな選択ができるようになります。
■子育てが楽になる
エニアグラムで子どもの気質が分かると、ちょっと安心します。子どもが起こす意味不明な行動が、そうだったのか~と腑に落ちて、私とこの子は違う人間なのだと受け入れ向き合って接することができるようになります。また、もっとこの子のことが知りたい!と思うようになり、子どもの話をよく聞いたり、より観察するようになります。
エニアグラムは、子どものことをもっと理解して子どもを愛したいと思う方の役に立つ学問だと思います。ぜひ活用してください。