ストレスから守ってはいけない
子どもに身につけてほしい非認知能力に「レジリエンス(回復力)」があります。
これは、適度なストレス(…緊張、興奮、期待など)が必要だとされていることが一般的。ストレスに耐えることで潜在能力を発揮しやすくなり、成長しながら高いレベルに挑戦するきっかけになるとされています。
・人前で発表すること
・試合に出ること
・小学校への入学
などが適度なストレスと言えるでしょう。
かといって、親が、子どもにとってどこまでが許容可能なストレスかのラインを見つけることはとても難しいです。
そこで、ひとつ、私が参考にしたラットを使った実験があります。
【実験】
①生まれたてのラットを1日15分、母親と引き離す。
②15分後、元の母親のそばに戻すと、母親がなめて毛づくろいをする。
③これを2週間繰り返す 。
【結果】
上記の①~③の経験をした赤ちゃんラットは、その後、ほかの母親とずっと一緒にケージにいたラットより、はるかに優れた成獣並みの抵抗力を示した。
つまり…
①の許容可能なストレスを与えられたラットは、脳が状況に適応する力を得て、抵抗力(ストレスからの回復力)を増大させることができた。ということ。
では、ラットが母親と引き離される時間がもっと長かったら?_その疑問に答える実験をご紹介。
【実験】
①生まれたてのラットを1日3時間、母親から引き離す。
②母親の元に戻すと、赤ちゃんラットは母親に近づこうとしなくなる。
【結果】
容易にストレスの影響を受けるラットになった。
赤ちゃんラットにとって、1日15分という時間は許容可能なストレスだったのに対し、1日3時間は有害なストレスになってしまったということ。
そこで、思ったんです。
「ラットの15分と3時間は人間にとって何時間?」
私は、このラットにとっての適度なストレス15分と有害なストレス3時間が、人間にとって何時間にあたるのかを計算してみました。(※専門的な計算法ではありません)
ラット6か月 = 人間18歳(216か月) ➡ ラット:人間=1:36
という式が成り立ち、そうすると…
「ラットの15分=人間の7~9時間」
「ラットの3時間=人間の90~108時間」となります。
この時間に当てはまる自身の体験として、子どもが私と離れた経験を振り返ってみると…子どもたちが保育園に行っていた時間が、ちょうど朝8時~夜6時までの9時間!ちょうどピッタリです!
子どもを保育園に預けていた時間は、適度なストレスだったと考えると、1歳からの保育園通いは正解だったと思います。
次に、有害なストレスの方。こちらにも当てはまる経験があります。実は、上の子と120時間連続で離れていたことがあるのです。
下の子どもが生まれて里帰りしていた期間の平日5日間がそれにあたります。このときの出来事は4歳だった子どもの心を傷つけた、私が一番の後悔している選択です。
もちろん、ラットの実験のように、ほかに愛情を注いでくれる人がいない環境ではありませんでしたので、一概に当てはまるとは考えてはいませんが、上の子を残しての里帰りは、子どもにとって有害なストレスであった可能性が高いと考えると、正直、ショックでした。
子どもの教育に目覚めた後は、この経験を無駄にしないよう、ストレスというものが子どもに与える影響について、より深く考えるようになりました。
親は有効的なストレスの使い方を考え、ラインを見極めて子どもに与える➡子どもがストレスを切り抜け、回復する時間を待つ➡繰り返すことで高いストレス耐性を身につける➡レジリエンス(回復力)が養われる
上の子が小学校に上がるとき、親子で大きな壁にあたりました。登校しぶりです。
その時、このストレスとレジリエンスの関係を知っていたからこそ、切り抜けることができたと思います。
親は子どもをストレスから守るのではなく、許容可能なストレスのラインを見極めて与えることが大切だと思います。登校しぶりの話は、また今度ゆっくりと^^